2011年08月15日

『刑務所の中』/花輪和一


先輩から借りた漫画本です。

銃刀法違反で逮捕されたガンマニアの漫画家が、懲役3年の実刑判決を受け、刑務所での服役中の生活を描いたものです。

独特のタッチで、スクリーントーンとか使わず、細かくペンが入れてあって、妙に几帳面さが漂ってて少し懐かしさを感じさせる不思議な画風が印象的。
刑務所の食事のメニューについてはとても詳しく描いてあり、食事が占める楽しみの度合いがどれだけだったか、わかるような気がします。
知らなかったのですが、映画にもなっていたようです。
刑務所の中って暗いイメージがあるのですが、彼が描く漫画を見ると不謹慎ですがとても楽しく見えるから不思議です。
獄中ものなのに、こんなに軽く読めるのもどうかと思いますが、わたしの中ではうけまくりでした。

不景気な中、軽犯罪を犯し、刑務所暮らしをしたいという人がいるのは、これまたヒンシュクだけどわかるような気がしました。ある意味、貧しい暮らしより裕福に感じる食事かもしれません。

監視の目を盗んで食べたくなる小倉マーガリンのパンとか、春雨スープの具がいつもよりすごいと「ビュー、ビュー!」って何言ってるのかと思ったら方言だったりとか、最初から最後まで面白かったです。
みんなが楽しみにしているお菓子の銘柄が実名で出てくると、実際にそれを食べてみたくなる気持ちにさせられます(笑)

刑務所ですので、それなりに厳しいし、不自由なのですが、なぜか絵の中の作者は刑務所暮らしを楽しんでいる様にさえ思えます。
作業中に落ちた消しゴムを拾うのやトイレに行ったりするのにいちいち監督官に「願いまーす」とお願いしないといけないというのも驚きでした。そのあとまたまた不謹慎にも「願いまーす」とギャグってしまうふざけた自分がいたりして…スミマセン

ことばに表現するのが苦手なのですが、この漫画不思議な魅力があります。


似たような魅力を持つ漫画に野村宗弘の『とろける鉄工所』というのがあります。舞台は広島のとある鉄工所で溶接の世界を溶接工の目から描いてる業界漫画とでも言うのでしょうか、視点の変わった面白いし、少し勉強になる漫画です。(最近のは読んでいないけど)

なんだろう、こういうマニアックなの好きかも。
 
どちらも実体験というのが説得力があるのかしら。外からは見れても中からは当事者の目を借りないと見えてこないから、普段知らないようなこと、気づかなかったことがその魅力なのかも。

先輩はいつもどこで探してきたの?というくらいわたしの中ではHITするものを教えてくれる。また面白いものあったら教えてもらおう。

Machako : 2011年08月15日 17:04

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